【心をマネジメントする必要性】

スポーツ界で結果を出す選手たちの多くは、トレーニングで心を整えることによってプレッシャーを乗り越え、大舞台でもひるむことなく実力を発揮し続けています。
この「実力」とは、そもそも何でしょうか。技術力や体力のことでしょうか。
しかし、たとえ技術力や体力に優れていても、メンタルの弱さゆえにプレッシャーに押しつぶされ「ここぞ!」というときに力を発揮できなければ実力があるとは言えません。
たとえ練習では活躍している努力家でも、本番で活躍できなければ力を認められにくいのが現実です。
つまり実力は、「心・技・体」をバランスよく磨くことによって高まるものだということができます。

日本のスポーツ界では、コーチ・トレーナー・コンディショニングコーチといった専門家がついて“技”と“体”を鍛えていることは多いです。しかし“心”の専門家がつくことはまだ少なく、メンタル面を強化することに関しては本人任せ、というのが実情です。これはプロスポーツに限らず、ビジネスの世界でも同様です。仕事のノウハウを教える講師は多いですが、心の面を教える講師はあまり多くありません。

しかし、最近では心の強さは訓練で鍛えられることが分かってきています。
トッププレーヤーの仲間入りをした錦織圭選手や大坂なおみ選手も“心”の訓練に取り組んでいるのは有名な話です。

この“心”の訓練はスポーツ選手だけでなくビジネスや生活のあらゆる事に応用できます。
例えば、営業でお客さんのお宅を訪問すると緊張してしまってなかなか上手く話せない。
大事なプレゼンを任されたけどとても不安。嫌いな人がいていつもイライラして仕事に集中できない、など。
持てる力をうまく生かせないビジネスマンこそ、実力を発揮させるための心の整え方を身に付けるべきだと、私は考えます。

日本では長年「根性だ」「気合だ」といういわゆる根性論で叱咤することが強くなる方法だと思われていました。
しかし、強い言葉で追い込まれたり厳しさの中で耐えたりしているだけでは、緊張は和らぎませんしプレッシャーには打ち勝てません。
逆境の中でも自分の心をマネジメントする方法を身に付けなければ、強さにはつながらないのです。
そこで私は、スポーツ心理学をもとにしたメンタルコーチングをお伝えして、仕事や日常生活をより良くするサポートをしたいと思っています。

なぜテニスが社会で活きるのか

私自身がテニスが好きで、テニスの持つ価値を多くの人に提供したい

というのが本音です。私のエゴが含まれていますが、そこには客観的な理由もあります。

心の切り替え力を身に付ける

テニスの試合はプレーしている時間は3割、ポイント間のプレーしていない時間は7割と言われています。
この7割の時間でどれだけ自分のメンタルをベストな状態に保ってプレーに入れるか、が強いプレーヤーになるポイントです。
自分の思い通りのプレーができなくて、落ち込んだり、イライラしたりしている状態で次のポイントに入ったら良いプレーはできません。
テニスではこの心の切り替えがとても重要です。
これは大会に出場するプレーヤーはもちろん、勝ち負けにこだわらないプレーヤーもメンタルを常に良い状態でプレーした方がよりテニスを楽しめます。
この「心を切り替える力」を、テニスを通して身に付けることができます。

トライ&エラーの宝庫

特に小学生くらいで「テニスをやってみたいけど、テニスは勝ち負けがハッキリしてしまうから避けてしまう。」
と言って、テニスをあきらめてしまう親御さんもたくさんいるのが現状です。
ただ、社会に出ていくうえで結果は常についてきます。社会に出れば結果をみて評価されてしまいます。
社会でより良く生きていく上では「結果と向き合い、どう改善していくのか」を考えられる能力が必要です。

テニスは1ポイント(1ラリー)ごとに結果が現れるスポーツです。相手より1球でも多くラリーをつなげれば勝ち、先にミスすれば負け。
あるいは、相手の触れないところに打ち返せれば勝ち、逆に相手に自分が取れないボールを打たれれば負け。
このように1ポイントで結果の良し悪しが出るのです。
もっと言えば、1ショットごとに良し悪しが現れます。
相手コートの深いところに打とうと思ったのに、ネットギリギリの浅いボールになってしまった。
相手のいないところに打とうと思ったのに、相手のいるところに打ってしまった。という具合です。

こうやって、テニスをする中でたくさんのトライ&エラーを繰り返すことができます。
これを意識してプレーして、テニスコート外でも実践すれば。
会社や日常生活でも自分の能力を高めることができるようになると確信しています。

テニスは個人競技でもあり、チーム競技でもある

テニスは個人戦というイメージが強いと思います。
しかし、私は個人戦でもありチーム戦でもあると考えます。
テニスは一人ではできません。コート上で練習するときは必ず相手がいます。
ダブルスならパートナーと力を合わせて共に価値を目指します。
団体戦というものもあります。学生時代の部活であれば、毎日チームメイトと一生懸命練習して、
試合になったら試合に出るレギュラー、審判を務める部員、応援する部員とチームで価値を目指します。
だから、テニスは仲間ができて、人間関係を良くしていくスキル(コミュニケーション)を磨く場にも最適です。

身体だけではなくボールとラケットを使う、外的な要因に影響されやすい

テニスは、当たり前のことですがラケットでボールを打つスポーツです。
サッカーやバスケットボール、格闘技と違って自分の身でプレーできるものではありません。
その分、初めてテニスをする人にとってはとても難しく感じます。
何かうまくいかないと「風が強かったから」とか「本調子じゃなかったから」
など言い訳をしやすい状況が多いのがテニスの特徴だと思います。
その中で、どうやったら上手く打てるのか、相手に勝てるのか、を考えて実行しなければいけません。
この「考え、実行する」という習慣を身に付けることにテニスはとても役に立つと考えています。